[Japanese Only]【多様性がつくる新しい未来】vol.1 「風の時代、多様性という価値観はどう変わっていくのか?」〜前編

今回は、「風の時代、多様性という価値観はどう変わっていくのか?」というテーマでジュエリーブランド『HASUNA』代表・白木夏子さんと対談しています。今回はその対談の前編をお送りします

MUKOOMIのテーマでもある〝多様性〟。

性別・年齢・国籍・価値観など異なる〝個〟を認め共存し、社会に貢献していくこと。そんな多様性を認め合う社会を目指すために活動・発信している方をゲストに招き、その必要性や未来を変えていくためのアクション、目指していることをMUKOOMI代表・吉川プリアンカと語り合う連載です。

第1回目となる今回のゲストは、2008年に人や社会、環境に配慮したエシカルジュエリーブランド『HASUNA(ハスナ)』を立ち上げ、社会起業家としても知られる白木夏子さんです。

いじめられた過去が、多様性を考えるきっかけに

------初対面のお二人ですが、それぞれ現在の活動内容について教えてください。

 

白木夏子(以下白木):ジュエリーブランドの『HASUNA』は、今年で創業13年目を迎えます。もともと大学で貧困問題を専攻していて、その時訪れた南インドのとある村で、過酷な労働環境を強いられている鉱山労働者達と出会ったことがきっかけでブランドを立ち上げました。

ボランティアやNGOだけでなく、お金がちゃんと労働者の手に渡るビジネスの仕組みをつくろうと思ったんです。

 

「ジュエリーは人から人に贈られて笑顔を生む。その中に悲劇があってはいけない」と、エシカルやフェアトレードなジュエリーを製作。写真はパキスタンの鉱山にて。

 

2018年には〝パートナーシップのあり方を問い直す〟というコンセプトを掲げたプロジェクト『Re.ing(リング)』をNEWPEACEという会社と一緒に始め、LGBTQなどさまざまな形のカップルに提案するマリッジやエンゲージリング、ペットと一緒に着けられる指輪のプロデュースもさせていただきました。

現在では創業メンバーである大谷明日香さんに代表を受け継ぎ、ジェンダーニュートラルなアンダーウェアをプロデュースしたり、クリエイティブスタジオとして多くの企業と共にプロジェクトを動かしています。

 

 「Re.ing」のプロジェクトでは、多様な「個」のあり方とその意思を祝福し、二元論に囚われない。これまでの固定概念を超えていく創作を行った。

 

吉川プリアンカ(以下吉川):ジェンダーニュートラルなアンダーウェアってどんなものがあるんですか?

白木:男性用・女性用というのは設けてなくて、ユーザーの性別を明確に区分するようなことはしていないんです。サイズ展開を幅広くしたブラレットやボクサーパンツを提案しています。

吉川:そうなんですね! MUKOOMIはスキンケアのブランドですが、同じく〝ジェンダーニュートラル〟はキーワードなんです。性別だけでなく年齢、国籍も関係なく使えるプロダクトづくりをしたいと思っています。

ただ物を売るだけではなくて、多様性を発信したり、人と人とが繋がれるコミュニティの場でもありたいと思っています。カスタマーサービスに電話して、悩み相談ができるくらいあたたかい場所にしていきたい。

 

白木:とても素晴らしいですね! スキンケアにした理由はあるんですか?

吉川:プロダクトをスキンケアにした理由は、ファンデのようなコスメだとメイクをしない男性も女性もいますよね? 基礎スキンケアならほとんどの人が日々使用するし、スキンケアの時間は自分と向き合う時間。自分を整えて、ありのままの自分を愛する時間でもある。だからこそ、他人と共存もできるんじゃないかなって。

 

白木:MUKOOMIさんの化粧水と目元美容液を使わせていただいているのですが、保湿力もあり肌心地が本当に気持ちよくて。肌が弱いのでなかなか合うスキンケアと出会えないんですよ。とても私の肌にも合うみたいで、愛用しています。

 吉川:ありがとうございます! とてもうれしいです。

 

--------お二人とも20代で起業されていらっしゃいますが、ご自身の信念を発信しようと思った、その原点はどんなことがきっかけだったんでしょうか?

 吉川:私は父がインド人で、母が日本人のハーフなので、偏見や差別を感じる場面がたくさんありました。そんな経験から、自分のアイデンティティーや多様性について深く考えるようになったことが大きいと思います。

東京で生まれたんですが、幼少期はアメリカとインドで育ったんです。日本には小学校6年生の時に戻ってきたんですが、学校で唯一のハーフだったんですよ。

肌の色も違うし、海外で育ったのでコミュニケーションの仕方もちょっとみんなとは違った。それだけで、いつの間にか「クラス全員にバイ菌扱いをされる」といういじめに遭ったんです。

そんな経験はアメリカやインドではなかったので、それまで見ていた景色と違いすぎて、当時は日本が嫌いでしたね(笑)。

 

幼少期のプリアンカ。

 

白木:私も小さい頃は太っていて、「ブタ」や「デブ」と言われていじめられていたので……。とても共感できます。私だって、好んで太っていたわけではないわけです(笑)。

でも見た目で判断されて、自分の個性とは違うところでひどい言葉を浴びせられるということに、とても傷ついていたし、そういう社会ってどうなんだろう……と思っていました。

そんな想いがあったので、セクシャルマイノリティーとか、女性のエンパワーメントなどに興味を持ち始めたんだと思います。

 

吉川: 日本は「みんな一緒がいい」という概念が根深いですよね。高校生になってから芸能活動を始めたんですけど、美白がブームでもあったので「肌の色が白い人を探しています」という案件しかなくて。この国の美しさの定義ってとても偏っているんだな、とは感じていました。

 

白木:そうですね。日本に限らず、アジアや中東ではそういった女性のエンパワーメントに関する問題はたくさんあります。たとえばパキスタンでは女性が教育をする機会が与えられない村や地域があるんです。

教育を受けるだけで石を投げられてしまうこともある。さらに、女性はまるで男性の所有物のような扱いを受けることも多い。そういった問題に対してどうすれば解決できるんだろう、ということはずっと考えてきた気がします。

 

『HASUNA』では、パキスタン・フンザ渓谷の特に貧しい地域の女性達にトレーニングを施し、研磨職人として育成している。

 

吉川:とはいえ、アメリカのようにあらゆる人種が混じり合って暮らしていている国でも差別は存在する。多様性は世界中において考えなければいけない問題なのかなと。

 

白木:その通りだと思います。私もイギリスに3年間留学していたのですが、イギリス人しか入れない階級社会があったりしましたね。ミックスされているんだけど分断されているみたいな。

そういった差別や偏見などをまったくのゼロにすることは難しいのかもしれないけれど、いろんな人がいて、いろんな価値観があって、みんな一人ひとりが違うということをお互いに理解できる世の中になったらいいですよね。そうしたらもっといい世の中になって、戦争もなくなるかもしれない。

 

吉川:本当にそう思います! みんな違っていいですよね。同じ人なんて一人もいない。親子だって違う。そもそも外国人とか、ハーフ、バイセクシャル、LGBTとかわざわざカテゴライズする必要ないんじゃないかな? と思います。シンプルに、みんな同じ「地球人」じゃないですか。他者を認めて、もっと共存ができる世の中であってほしいと思います。

〈後編へつづく〉

NATSUKO SHIRAKIInstagram@natsukoshiraki

ジュエリーブランド『HASUNA』代表取締役社長。鹿児島県生まれ、愛知県育ち。2002年より英ロンドン大学キングスカレッジにて発展途上国の開発について学ぶ。卒業後、投資ファンド事業会社に勤務した後、2009年にHASUNAを設立。人と社会と自然環境に配慮したエシカルジュエリーブランド事業を展開。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011」キャリアクリエイト部門受賞。2011年、世界経済フォーラム(ダボス会議)が選ぶ日本の若手リーダー30人に選出。2012年、ロシアAPEC日本代表団として「女性と経済フォーラム」に参加。2013年、世界経済フォーラム年次総会に出席。著書に『世界と、いっしょに輝く エシカルジュエリーブランドHASUNAの仕事』(ナナロク社)、『自分のために生きる勇気』(ダイヤモンド社)など。女性の働き方や起業、ブランディング、サスティナビリティ、ウェルビーイング、SDGs等をテーマに国内外で講演活動も行っている。


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